数学科講師 首藤 宇俊 (京都大学理学部卒業)
どうして医学部に入学するために数学が必要なのでしょうか? 医学部の先輩なら「入試の数学なんて、生物や化学に比べれば意味がない」と言うかもしれません。数学の重要性は論理的な思考力を鍛えることにあります。
大学入試における数学とは、「与えられた条件を過不足なく利用して結論を導く」の一言に尽きます。入試数学では、条件は「過不足なく」与えられているため、必要でない条件も足りない条件もないのです。
しかし、実際の医療現場はそうではありません。「理想状態」で物事を考えることができない人が、将来、複雑な医療現場に於いて対応できるでしょうか? 大切なのは「論理的に考える力」なのです。「入試の数学は解法を暗記することだ」と言う人がいます。
しかし、医学部入試の数学は、考える力なしに突破できるほど単純ではありません。遠回りに思えるかもしれませんが、「考える過程」が非常に重要なのです。数学は「論理的に考える力を養う学問」であることを意識してください。
こうした数学の理想も大切ですが、医師になるためには医学部に合格しなければなりません。
短時間で高得点を叩き出すには、テクニックも必要です。しかし、入試のテクニックは「考える力」があって初めて意味を持つということを忘れないでください。医学を志すという高い目標を持って、一緒に学んでいきましょう。